第7話 日本語の語源 その1

1)「玉の輿」とは:

 江戸の昔、八百屋の娘のお玉が大奥に奉公に出て三代将軍徳川家光の側室となりました。その後五代将軍となる綱吉を出産し女性としては最高位の従一位という官位を授かっています。お玉の出世が「玉の輿」という言葉の由来の一つとされていますが王様の席を「玉座」と言う様に「玉の輿」は王のような貴人に嫁ぐ際の婦人の乗り物のことでそこから女性が婚姻によって手にする富貴な身分のことを「玉の輿」と呼ぶようになったとの説もあります。女性が憧れる「シンデレラ・ストーリー」のひとつの形態です。もう一つ「玉の輿」ではミュージカルにもなった実話があります。今から100年ほど前の大富豪モルガン家の甥と日本人女性の話です。1900年の初頭モルガンと言えば当時既に世界有数の金融財閥で国家をも上回る支配力で金融界に君臨し産業界を陰で支配した一大金融帝国でした。モルガンはタイタニック(ホワイトスター社保有)の実質的なオーナーで沈没事故の後に巨額保険金を受け取り当時経営難にあった支配下のホワイトスター社は経営危機を乗り切りました。こうした事実を踏まえ後に「タイタニックは沈められた」との本も出版されています。米金融大手のモルガン・スタンレはグラス・スティーガル法(商業銀行と投資銀行を分離する銀行法)によってJPモルガンから分離・独立した投資銀行・証券会社でその後JPモルガンはロックフェラー家の支配下にあったチェース・マンハッタン銀行に吸収されさらにバンク・ワンを買収し現在のJPモルガン・チェースに至ります。JPモルガンを設立したジョン・ピアポント・モルガンの甥ジョージ・D・モルガンは京都で豪遊中に芸妓のお雪に一目惚れします。気乗りしないお雪は無理を承知でモルガンに4万円で身請けして欲しいと頼みます。当時の4万円は現在のほぼ1億円に相当しますが巨大財閥が後ろ盾にあるジョージ・モルガンには何の障害にもならなかったようでその額でお雪を落籍し1904年二人は結婚式をあげました。日露戦争直前のその当時世間からは「玉の輿」と言われましたが周囲の冷たい視線と苦労の中で決して乗り心地のいいものではなかったようです。 

2)2月20日は「歌舞伎の日」:                                          出雲阿国が江戸城で将軍や諸大名を前に初めてかぶき踊りを披露した日にちなみに2月20日は「歌舞伎の日」となっています。今から400年ほど前の出来事ですが現代でも「十八番」(おはこ)や「二枚目」など歌舞伎に由来する言葉が日常的に使われています。ちなみに「十八番」は市川宗家の得意演目が歌舞伎十八番でその台本を桐の箱に入れていたことが「おはこ」の語源です。「二枚目」はもともとは歌舞伎を上演する芝居小屋で客寄せのために掲げた絵看板に由来します。絵看板は8枚あり一枚目の「書き出し」に始まり「二枚目」には美男の花形役者の絵が書かれており「三枚目」に道化役が書かれていたことから二枚目=美男子、三枚目=面白い人という使われ方をするようになりました。ちなみに「二枚目半」は三枚目の要素をもつ二枚目のことを指します。 また会計の際に使われる「おあいそ」も歌舞伎に由来しています。歌舞伎では男女が縁を切ることを「愛想尽かし」と言いそれを真似て飲食店の主人が勘定を請求する際「誠に愛想尽かしな事ですが・・」とへりくだって言うようになったことが始まりです。 そのほか幕の内弁当、とちる、めりはり、黒幕、御曹司、板につく・なども歌舞伎から出た言葉です。

 

如何ですか? 日本語は面白いですね。日常何気なく使っている言葉にこんな歴史がある。外国語を学ぶ前に今一度日本語を確りと勉強すると結構たのしいかも知れません。